今後、調剤薬局が生き残っていくための3つの方針

今後、調剤薬局が生き残っていくための3つの方針

2020年は調剤報酬改定、世界的な感染症拡大、オンライン服薬指導解禁など調剤薬局を取り巻く環境が大きく変わりました。
高齢化もこれからもっと進んでいくと考えられています。

そんな中、今後、調剤薬局が生き残っていく為にはどういった取り組みをしていくことが求められるでしょうか。

今回は、今後も薬局が生き残っていくための考え方について解説、生き残るための方針を3つ検討します。

現在の薬局を取り巻く環境

現在薬局は日本全国に約60,000店舗あると言われています。
コンビニよりも多いといわれ、大手チェーンの全体に占める割合が少ないのも特徴です。
全体の約7割は個人~小規模の薬局といわれています。

しかし最近では大手チェーンによるM&Aもかなり積極的に行われています。
大手チェーンであれば、デッドストックも柔軟に対応できますし、人材や資金も潤沢にあるケースが多いため、今後更に大手チェーンのM&Aは活性化していくと考えられます。
こうした現状から今後薬局が生き残っていくためには患者さんのニーズをしっかり把握していく必要があります。

今後、調剤薬局が生き残るために必要と思われているもの

調剤薬局の将来性、今後生き残る薬局の条件とは【薬剤師106人にアンケート】

* 出展:調剤薬局の将来性、今後生き残る薬局の条件とは【薬剤師106人にアンケート】

上記のアンケート結果から、今後は在宅対応の強化とオンライン服薬指導の導入が必要だと考えられています。
実際、2020年の改正薬機法で、特定の機能を有する薬局の認定として「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」が新設されました。
地域やその他医療機関と連携するという国としての方向性からも、在宅医療への対応は更に求められると推察できます。

地域連携薬局

「地域連携薬局」とは「入退院時や在宅医療に他医療提供施設と連携して対応できる薬局」のことを指します。
様々なところと連携しながら、夜間対応や在宅対応にも積極的に取り組む薬局が求められています。

専門医療機関連携薬局

「専門医療機関連携薬局」とは「がん等の専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応できる薬局」のことを指します。
高齢化社会で、多剤投与による副作用のリスクを回避するためにも、薬学管理のスペシャリストがいる薬局が求められています。

 

他にも面対応が挙げられていますが、今回の世界的な感染症拡大により、小児科や内科に関わる減収は大きかったようです。
面対応で集中率を下げないと調剤基本料が下がってしまうので面対応も重要ですが、面対応だから安心というわけでもなさそうですね。

またそれ以外にも残薬の確認、英語対応、デジタル化、個室完備なども注目されています。
個室の薬局はウイルス感染防止や「薬のことについて他の人に聞かれたくない」というニーズもあるので、今後増えてくるかもしれません。

在宅医療に対応するために

このように現場で働く薬剤師さんも在宅医療の重要性、オンライン服薬指導の可能性を肌で感じていることかと思います。
特にオンライン服薬指導が普及すれば、日中時間がとれないサラリーマン、外出が困難な高齢者、在宅医療が必要な患者さんなど、通院の負担が大きい患者さんの負担軽減と利便性の向上が期待できます。
また今まで在宅医療において薬剤師さんの訪問を必要としていた患者さんに対し、オンライン服薬指導を併用することで、薬剤師の負担軽減にも繋がります。

しかし実際在宅対応の強化、オンライン服薬指導の必要性は分かっていても何から始めればいいかわからないという方もいるかと思います。
ここでは在宅医療に対応するための3つを方針をご紹介します。

オンライン服薬指導ツールを導入する

オンライン服薬指導は、LINEやSkype、zoomなどの無料ツールで行うことも可能です。
しかしオンライン服薬指導の予約管理や決済など多くの手間が必要になる可能性が考えられます。
今後在宅医療に力を入れるのであればオンライン服薬指導ツールの導入を考えてみてもいいかもしれません。

中でも電子薬歴メーカーから出ているオンライン服薬指導ツールは、機能性が高いです。
過去薬歴を見ながらオンライン服薬指導を実施できたり、レセコンからの情報を連携することで負担金とオンライン服薬指導に関わる手数料をスムーズに入力できたりするので、必要な手間が大きく削減できます。

また患者さんが使っているオンライン診療のツールであれば、そのツールをそのままオンライン服薬指導ツールとして使えるものも多いです。
門前の病院やクリニックの使っているオンライン診療ツールも知っておくといいかもしれません。
この先オンライン服薬指導のニーズは更に上がると考えられるので、今のうちにツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

クラウド型の電子薬歴への変更を検討する

在宅医療に力を入れるとなると、薬局外から薬歴が見られた方が便利です。
また次回訪問日などを薬歴システムで管理することができるので漏れが防止できます。

Excelで訪問日程や訪問患者さんを把握していたり、訪問にいくときは薬歴データを一度USBにデータを落としてから持って行っているという薬局もあります。
しかしセキュリティと手間のことを考えると、今後在宅医療に力を入れるならクラウド型の電子薬歴の方が使い勝手がいいでしょう。

往診同行の際にはドクターのスピードについていくためにも、手早くしっかりとした薬歴が書けるシステムが求められます。
クラウド型の電子薬歴は電子薬歴専門メーカーであることが多いので、薬歴を書くことに特化しスピーディに書けるだけでなく、細かい機能やしっかりとした指導文を記入するアシストをしてくれます。

多職種との連携

在宅医療に力を入れるなら多職種との連携は欠かせません。
ヘルパー、ドクター、ケアマネージャーなど、さまざまな職種とスケジュール調整や状況報告などで連携し、患者が正しく服薬できるような体制をつくることが重要です。
しかし現在、在宅訪問をしていない、もしくはそこまで力を入れていない調剤薬局は、施設への訪問や患者さん宅への訪問したくても患者さんがいないということもあり得ます。

そのためこれから在宅医療に力を入れるなら、調剤薬局側からの営業活動も必要になると考えられます。
実際に営業にいくと「在宅対応してくれる調剤薬局がどこなのか、分からないから来てくれて良かった」という医療機関のニーズもあるので、積極的に働きかけるのも一つの手です。

患者さんに必要としてもらえる調剤薬局へ

今回は薬剤師向けのアンケートを基に、在宅医療、オンライン服薬指導について解説しました。
今後生き残りが厳しくなると言われる薬局業界で、在宅医療に力を入れるのも一つの手です。英語対応や個室化等も検討してみてもいいでしょう。

結局患者さんに喜ばれる、必要とされる調剤薬局づくりが今後求められると考えられます。
今できることを一つずつ実行し、時代の流れに柔軟に対応していくことが大切です。